知らなかった母の気持ち

昨日は、母の介護で本当にお世話になった方々

が来店してくれた。
闘病中もずっと支えてくださった方々に、
改めてお礼を直接伝えることができて
本当に嬉しかった。
仕事終わりでラストオーダーぎりぎりに
駆けつけてくれたので、最後はゆっくり話もできた。

その中で「家族みんなでお母さんをどうにかしたい!という想いが伝わる。なかなかそういう家庭って無いんです」と言っていただいた。
でも正直なところ、僕はお店のことも
どうにかしなければと必死で、去年のある日
母に辛い言葉をぶつけてしまったことがある。

当時はランチ営業も今より多く
母はベッドの上ながらまだ腕が少し動き
何かあると電話で呼ばれていた。
ランチ中でも、仕込み中でも
夜の営業中でも、深夜でも。
なので当時は店に寝泊まりをしていた。
ストレスが増え、疲れ、体調を壊すようになった。

このままだと共倒れになってしまうと思い
「介護をしてほしいならお店を辞める。やりながらの介護は難しいから、ケアサービスを使ってみんなの負担を減らしたい」と言ってしまった。
もちろん辞める気なんてなかったし
店を守って欲しいと望んでいるはずだと思っていた。
でもその時、母は小さな声で
「私は邪魔者なんだ」と言った。
そんな訳ない!思うわけない
胸が締め付けられて涙が出た。

そこから母は少しずつ動けなくなり
口から食べられなくなり、胃から栄養を入れ
トイレも管になった。
もう電話で呼ばれることはなく
父が常にそばにいてくれたおかげで
僕らはお店に集中できた。
それでも平日は時間を作れず
休みの日にだけ母の顔を見るという生活だった。

そんな時、元看護師の友人が言ってくれた。

「人が亡くなって安心するのは違うと思っている、悲しがられないとダメだよ。」
恥ずかしい話、介護を1年以上やっていると
疲れたのか自然とそっちよりの思考に
なっていのかもしれない。話は続いた。
「病院で見てたけどお母さんにとって息子は恋人なんだよ。大ちゃんが1日3分でも顔を見せてあげる事でどれだけ喜ぶか。お母さんも病気で感覚が鈍っている。だからしっかり手を握ってディズニーのキャストばりに『おはよう!今日は調子はどう?今日もお店頑張ってくるね‼︎』ってやればいい。行ったからって長い時間居なくていい。毎日少しでも顔を見せてあげて」

本当にそうだなと思った。

毎日やる事が多くて母の所に行けば
長く居なきゃけないと思って
中々平日行けなかったのだ。
でもその言葉でとても気が楽になって
次の日から行くようにした。
3日続けて行った後、忙しくて2日行けなかった時
夜10時に父から「母さんが呼んでる!」
と連絡があった。
何かあったのかと心配し急いで行くと
「毎日来るって言ってたのに、もう2日来てない」
と言われた。笑
母が亡くなる2ヶ月前の話。
本当にあの言葉をもらってなかったら
全然会いに行けないで
お別れをしていたかもしれない。

そして昨日、介護の方から初めて聞いた話がある。
母はドラマなどが好きだったので以前、僕が
「テレビを変えてNetflixやAmazonプライムで好きなのを観れば?」
と提案した時、やんわり断ったことがあった。
理由を聞かずに流してしまっていたけど
実はこう言っていたらしい。
「このテレビは、息子が働いたお金で初めて買ってくれたテレビだから、これでいいんです」
その一言を聞いた瞬間、胸が熱くなった。
そこにある想いをずっと大事にしてくれていたんだと。

母との直接の時間はもうないけど
こうして人づてに聞くエピソードが
僕には知らない母に会わせてくれる。
昨日は改めて、母と関わってくださった方々への
感謝を強く感じた一日だった。